*癒され処別館 [#ic11c3cd]
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**ネツァワル式バーボンハウス 外伝 [#f68cc930]
***第1章 [#za9b3232]
 オリ「糞っ!今のネツは本当にgdgdだ!」
 スカ「全くだ。この店の客を見てみろよ!ホントネツの雰囲気は最悪だぜ!」
 店主「・・・
    ご注文は何かな?」
 オリ「こんな安月給じゃいい酒は飲めねーからな・・・とりあえず牛乳をくれ」
 スカ「俺はアルコールがダメでな。俺は豆乳を頼む」
 
 店主「ところで・・・
    ここは戦いに疲れた者達が集う酒場だから別に色々愚痴るのは構わない。 
    ここで吐き出してまたがおーできるようになるなら安いもんだ。 」
 オリ「・・・」
 スカ「ふん!気休めありがとうよ! さあ兄貴一杯やろうぜ!」
 オリ「ああ・・・」
 スカ「ところで兄貴。昔のネツが強かったってのは本当かい?」
 オリ「ああ、そりゃもう強かったさ!防衛戦に出れば連戦連勝!
    皆命知らずのどーしよーもねえ馬鹿ばっかりでさ、
    オリのみならず仲間の皿やスカまで敵めがけて突撃したものさ!
    お前信じれるか!?」
 スカ「いやあ、俺には信じれないねえ。本当にそうだったのかい?」
 オリ「オイ!お前俺の言う事を信じれねえって言うのか!?」
 スカ「ま、まてよ・・・兄貴!落ち着けって!」
 オリ「まあいいさ・・・今となっては遠い昔の物語だ。
    誰も信じなくていいさ・・・」
 スカ「兄貴・・・」
 
 店主「ふむ。つまり君は昔の黄昏に浸りながらこの先の人生を歩む訳だ。
    今を生きずして過去に生きる・・・なんとも切ない人生だねえ」
 オリ「・・・」
 スカ「おい!お前!兄貴に向かって何て口の聞き方だ!」
 オリ「オイ・・・よせ・・・」
 スカ「兄貴!何で一言言ってやらないんだよ!・・・見損なったぜ・・・」
 オリ「・・・」
 
 店主「君はネツ人ではないな?どこから来たのだね?」
 スカ「俺か?・・・俺はお前さんの言うとおり他国から移住してきたのさ!
    まあ、そりゃ・・・それなりの夢と希望ってものを抱いてネツに来たけどさ・・・
    今のこの国のあり様じゃそんなもの直ぐにどこかに消えちまったさ!」
 店主「なるほど。君は夢と希望を持たずして、これからの人生を歩む訳か。
    夢と希望のない人生に幸せなんてあるのかね?」
 スカ「なんだと!?この野郎!!!」
   (スカ、店主に殴りかかる)
 オリ「やめろ!!!」
   (ぼこっ! オリ、スカをぶん殴る)
 スカ「痛てぇ!!!何でだよ!!!兄貴!!!」
 オリ「うるせぇ!とにかくヤメロ!この人はな・・・この人は・・・」
 スカ「何でだよ・・・兄貴・・・」
 
 店主「私は昔の君を知っている。君がどんな人間であるのかも。
    昔の君なら今君が置かれた状況に絶対満足しないはずだ。
    君は今何をすべきか分かっているはずだ。何故行動に移さない?
    昔の君なら・・・」
 オリ「うるさい!・・・それ以上言うな!・・・分かってる・・・
    そんな事言われなくても分かってるんだよ!」
 スカ「兄貴・・・一体どうなっちまったんだ!?」
 
 オリ「マスター・・・済まねぇ・・・今日は持ちあわせが少なくてな・・・
    牛乳代すら払えねぇ・・・ツケで頼む・・・」
 店主「ああ。分かったよ」
 オリ「オイ、兄弟!いくぜ!」
 スカ「ま、まってくれよ!まだ俺は豆乳を全部飲んでないんだぜ!?」
 オリ「黙って付いて来い!!」
 スカ「ひぃ!」
 オリ「マスター・・・おかげで目が覚めたぜ。
    俺・・・頭が悪いから何をやればいいかさっぱりわからねぇけどさ・・・
    とりあえず戦場で声を出してくるわ」
 店主「そうか」
 オリ「さあ、行くぜ!兄弟!」
 スカ「まってくれよー! 兄貴ー!」
 
 店主「ああ、一つ言い忘れた。今日の酒(牛乳)はおごりだ。
    また来る時は、もっとまともな注文をしてくれよ」
 オリ「ああ・・・恩に着るぜ」
 
 オリ「オイ!そこの軟弱野郎!お前のひん曲がった根性を戦場で叩き直してやる!」
 スカ「そ・・・そんな・・・兄貴ーーーー!(涙)」
 
 ----- 店主の日記「旧友来る」より -----
***第2章 [#p8960380]
 店主「お、懐かしい顔だな。今日は素敵な彼女も一緒のようだが?」
 皿子「えーっ やっぱりわかります??彼女に見えます??(はあと)」
 スカ「お、オイ!やめろって。そんなにくっ付くな」
 皿子「もぅなんで恥ずかしがるのよ!」
 スカ「いや・・・別に」
 
 店主「ところで彼はどうした?今日は流石に一緒じゃないのかな」
 スカ「ああ、今日はちょっとね・・・」
 皿子「あーっ!彼ってあの口うるさいおっさんの事!?」
 スカ「口うるさいは余計だ」
 店主「ははは。まあ、確かに彼は堅物だからな」
 皿子「あのおっさん、いなくなって本当に清々したわ!
    だって、やれ僻地に来いだの、やれクリばかり掘ってないで召喚になれだの、
    とにかく戦場で五月蝿くってかなわなかったわ。
    おかげで彼とのクリをほりほりデートを何度も邪魔されたし!」
 スカ「・・・」
 皿子「あのおっさんが目の前から消えてくれたおかげで毎日がとても し あ わ せ ! 」
 スカ「おい・・・」
 店主「消えたって?それは一体・・・」
 皿子「ええ、ドランゴラ防衛戦のとき仲間のオリと崖下に突撃してヘルに焼かれて死んじゃったのよ。
    あんなところに突撃したら皆ヘルで焼かれて死んじゃうのに。ばっかみたい!」
 スカ「・・・」
 皿子「あーぁ 思い切り喋ったらすっきりした!
    貴方、少し席をはずすわね。」
 スカ「ああ」
   (皿子、厠へ)
 
 店主「そうか・・・彼は死んだのか・・・彼の人生は破天荒そのものだった。
    遅かれ早かれこうなる運命だったかもしれぬ・・・」
 スカ「ああ、そうだな・・・」
 店主「しかし君は生き残ったというのか。中々大したものだな」
 スカ「腕には多少なりとも自信があるからな・・・」
 
 店主「そういえば、最近彼から預かった物がある。
    ドランゴラの戦が終わった後、私から君に渡してくれと頼まれてね。
    受け取ってくれるかい?」
 スカ「あ・・・兄貴が俺に?」
 店主「これだ」
 
 
    ○○○   
   ○ ・ω・ ∩ ガォー!
    ○○○彡    ガォー!! 
   .c(,_u⊂彡 
 
 スカ「こ・・・これは! その昔、ネツァワル精鋭騎士団の部隊長にのみ着衣が許されていたマントじゃないか!
    お、俺はこれに憧れてネツに移住してきたんだ!
    俺も何時の日か、このマントを身にまといし戦場での活躍を夢見て・・・
    まてよ・・・このマントは確か今ネツに二つしかないと聞く。
    なんで兄貴がこんなものを持っていたんだ? ま・・・まさか・・・」
 店主「受け取ってくれるかな?」
 スカ「い・・・いや・・・今の俺にはこれを受け取る資格はねぇ・・・」
 店主「何故だ?故人の意志を受け継ぐ事が故人への最大の礼儀ってものじゃないかな?」
 スカ「お、俺は・・・俺は・・・」
 店主「どうした?」
 スカ「お、俺は・・・
    兄貴を・・・
    見殺しにしたんだ・・・」
 店主「ドランゴラで何があったのだ・・・良ければ話してもらえないかな?」
 スカ「それは・・・」
 
 スカ「俺は・・・
    戦争が始まると共に、兄貴と一緒に東の崖めがけて一目散に走った。
    兄貴は崖下を抑えれば必ず戦争に勝てるって・・・そう仲間に言い聞かせて・・・
    仲間のオリと共に「がおー」の雄叫びの元、崖下に飛び込んだ。」
 店主「君も一緒に飛び込んだのかな?」
 スカ「いや・・・俺は・・・飛び込まなかった・・・
    違う・・・飛び込めなかったんだ!
    飛び込みたくても・・・崖下を覗いたら・・・足が・・・足がすくんで・・・
    弓スカの俺が一緒に飛び込まなきゃ、オリの兄貴は敵の火皿に焼かれてしまうのは
    百も承知だったのに・・・
    俺は・・・俺は・・・恐怖に怯えて飛び込めなかったんだ!!」
 店主「・・・」
 スカ「崖下からは、仲間のオリ達の悲痛な叫び声が聞こえてきた・・・
    今でも、あのときの仲間の叫び声が脳裏に残ってはなれねぇ・・・
    兄貴の叫び声も・・・」
    (スカ、泣き崩れる)
 店主「そうか・・・よくぞ話してくれた。
    彼は幼き頃より身寄りがなく。私の家族の元で共に過ごした。
    彼とはその時からの親友だった。そして今でも、そうさ・・・今でも・・・。
    君が勇気をもって真実を語ってくれたおかげで友人である彼の最後を知ることがきた。
    彼の友人として礼を言おう。ありがとう。」
 スカ「俺は・・・」
 
 皿子「おまたせー! またせてごめんね。さあ乾杯しましょう!
    あれ?どうしたの?泣いてるの??」
 店主「今は、彼を一人にしておあげなさい。」
 皿子「えっ?」
 
 
 男A「大変だ!エルソードがドランゴラに攻めてきた!」
 客B「なんだって? 今どんな状況なんだ!」
 客C「何!?ネツが5人、エルソードが15人だって!?」
 客D「こりゃ駄目だ・・・諦めよう。援軍に駆けつけたところで無駄死にするだけだ」
 客E「ああ、そうだな。悔しいが仕方がない・・・」
 
 
 皿子「はぁあ。いやな話を聞いたわ。せっかくのデートが台無しじゃないの」
 スカ「おい、出かけるぞ」
 皿子「え?出かけるってどこに? 今お店に入ったばかりじゃないの!」
 スカ「うるせぇ!黙ってついてこい!」
 皿子「ま、まってよ!どこに行こうっていうのよ!?」
 スカ「ドランゴラに決まってるだろ!」
 皿子「馬鹿言わないでよ!なんで負け戦なんかにいかないといけないのよ!」
 客D「弓スカさん、そのお嬢さんの言うとおりだ。無駄だ。やめておけ」
 客E「だよな。無駄に命を削るだけだというのに」
 皿子「ほーらね。まったくなんで負けが見えてるドランゴラなんかにいかないといけないのよ」
 スカ「俺は・・・俺は・・・ネツ人なんだよ!
    生まれも育ちもネツじゃねーけど・・・もう俺の魂はネツ色に染まっているんだよ!
    俺はもう二度と・・もう二度と仲間を見捨てたりはしねぇ!!!!」
 客D「お、おい・・・お前・・・」
 
 スカ「もういいい、ついてこないなら俺一人で行く!」
 
 皿子「ま、まってよーーーー!」
 スカ「おい、お前、俺についてくるって言うのかい? 散々いやがっていた癖に・・・」
 皿子「もう!ほっとける訳ないでしょ!まったく子供みたいに世話が焼けるんだからっ!
    さあドランゴラで堀り堀りデートを楽しみましょっ!(はあと)」
 スカ「オイ!この軟弱野郎!お前のひん曲がった根性を戦場で叩き直してやる!」
 皿子「な!なんですって!か弱いレディーに向かって”野郎”って何なのよ!」
 スカ「うるせぇ!今日からお前は俺の子分だ!黙ってついてこい!」
   (スカ、皿子を片に抱きかかえて店を出る)
 皿子「そ・・・そんな・・・いやーーーん(涙)」
 
 客D「いまどき珍しい若者だな。命知らずもいいところだ」
 客E「まあな。でもよ。俺たちだって若い頃はそりゃ・・・」
 客B「はっ!お前さん達の腕と斧は錆付いて、もう使い物にならんじゃろ!
    わしはまだまだ現役じゃ!」
 客D「・・・」
 客E「・・・」
 客D「昔は良かったよな・・・」
 客C「ははは。何黄昏に浸っているんだい?俺様の腕と斧はまだ錆付いちゃいないぜ!」
 客D「ふん!ふざけるな!俺だってまだまだ現役だ!」
 客E「なあ・・・あの頃に戻ってひと暴れしてみないか?
    俺たちゃ老け込むにはまだ早すぎるよな?」
 客B「ああ・・・いっちょひと暴れしてくるか?(にやり)」
 客C,D,E「ドランゴラでな!」
 
 客B「マスター、今日は全員ツケで頼むぜ。金を払う時間すらもったいないからなっ
    野郎共!いざ出陣だぜ!!!!!!!!!!!!!」
 客全員「おおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 
 店主「やれやれ」
 老人「なんとも頼もしい青年じゃのう。将来が楽しみじゃ」
 店主「おや、いつのまに・・・しかしあの青年は・・・
    そう・・・なんというか若かりし日の亡き友に似ている。そんな気がしませんか?」
 老人「そうかのう。わしにはお前さんの若かりし姿と被って見えるのじゃがのう」
 店主「えっ」
 老人「はっはっはっ(水戸黄門調)」
 
 ----- 店主の日記「英雄死すとも魂は死せず」より -----
***第3章 [#u5d7a3a2]
 皿子「はあぁ・・・」
 店主「何かあったのかな?」
 皿子「最近、彼と全然会えないのよね・・・私嫌われてるのかな・・・」
 店主「ははは。それは考えすぎじゃないかな?
    彼は出世して何かと忙しいのだろう。
    つい先日も、国王へ謁見するために上京すると話していたしね」
 皿子「なっ!なんですって!
    私そんなの一言も聞いてないわっ!
    何でマスターにだけこっそりと・・・」
 店主「何でも今回の仕事は隠密行動が必要との事だが。
    上官から周囲には目的を漏らさないようにと言われているそうだ」
 皿子「そんなぁ・・・でも私は話してくれたっていいと思わない?
    ねぇ そうでしょ?マスター!」
 店主「落ち着きなさい。今日は私が一杯おごるから」
 皿子「一人でお酒を飲んだって・・・楽しくないよ・・・」
 店主「ははは。私では彼の役は務まらないか
    まあ、ゆっくりして行きなさい」
 皿子「はーぃ。ふぅ」
 
 (スカ、店に現れる)
 
 店主「お!彼が戻ってきたぞ!」
 (皿子、そっぽを向く)
 スカ「おいおい、機嫌が悪そうだな。久しぶりに会えたっていうのに。
    やぁ。マスター。久しぶりだな」
 店主「ああ、お帰り」
 スカ「何かあったのか?」
 皿子「何でもありませんよーっだ!ね?マスター」
 店主「あ、ああ、そうだな(苦笑)」
 スカ「ちぇっ!俺だけ仲間はずれかよ! まあいいや。とりあえず牛乳をくれないか
    いつもの銘柄のやつをな」
 店主「ははは。牛乳ならちゃんと仕入れてあるさ。しかし、この注文を聞くと昔を思い出す・・・」
 スカ「ああ、いい思い出だ・・・」
 皿子「ちょっと!どんな思い出なのよ!? まさか昔の女の思い出じゃないでしょうねっ!?(怒)」
 スカ「さぁ。どうだったかなあ・・・なっ? マスター?(笑)」
 店主「私に振られても困るが(苦笑)」
 皿子「もぅ!二人とも大嫌い!」
 
 店主「ところで、お二人のなり染めをまだ聞いてなかったのだが。
    どこでこんな素敵なお嬢様を見つけてきたんだ?
    ネツ広しといえど、そう簡単には見つかるまい(笑)」
 皿子「えーーーーーっ! やっぱりそう思いますぅ????」
 スカ「(オイオイ)」
 皿子「今何か言った!?(殺)」
 スカ「さあな。そういえば、お前と出会ったのは・・・確かエルギルだったかな」
 皿子「初めて出会った場所を忘れたって言うの?もう最低!
    エルギルじゃないわ! ゴブリンフォークよ!(怒)」
 スカ「似たようなものじゃないか」
 皿子「全然違うわよ!」
 スカ「マスターも一言いってやってくれよ」
 店主「ああ、君が全て悪いな(笑)」
 スカ「・・・」
 皿子「ほーらみなさい!」
 
 皿子「私たちはゴブリンフォークの戦争中に出会ったの」
 スカ「まあ、そういう事だ」
 皿子「もう!話はまだまだ続くのよ!」
 店主「是非続きを聞いてみたいね(笑)」
 スカ「勝手にしてくれ!」
 
 皿子「そう・・・あれは、稲妻に打たれたような衝撃的な出会いだったわ!」
 スカ「(んー、確か仲間のジャッジが皿子に命中していたような・・・)」
 皿子「私は感じたの・・・感じたのよ! 彼の熱い視線を!」
 スカ「(んー、あの時はハイドだったかな・・・)」
 皿子「そして・・・そして、彼の愛の矢が私のハートを射抜いたのよっ!」
 スカ「(んー、確かイーグルストライクが命中していたような・・・)」
 皿子「私は、あまりの衝撃に足元がふらついて・・・」
 スカ「(んー、スパイダーも命中したしな・・・)」
 皿子「そして・・・そして、私のハートは激しく燃え上がったのよっ!」
 スカ「(んー、ブレイズも命中したしな・・・)」
 皿子「私だけじゃないわっ!彼も!彼も!激しく燃え上がったの!」
 スカ「(俺めがけてヘルをぶっ放してきただけのような・・・)」
 皿子「えーーーぃ!横でごちゃごちゃとうるさーーーーい!!!!」
 スカ「お、俺は事実をいったま、ん、が、ごご・・・」
     (スカ、皿子にあいた口をふさがれる)
 店主「ははは。なかなか素敵な出会いじゃないか(笑)」
 
 店主「だが・・・その話は少し矛盾しているじゃないか
    つまり、彼女は敵国の人間だったということかね?」
 皿子「そうよ。私がネツの怖い人たちに捕まったとき、彼が捕虜の私を助けてくれたの
    ねっ。あ な た(はあと)」
 スカ「ああ、そんな事もあったなあ」
 皿子「もぅっ! ちゃんと覚えてなきゃだめじゃないの!
    運命の出会いの瞬間は、レディーにとって一生の・・・」
 
 (衛兵数名が店に入ってくる)
 
 店主「騒々しいな。何かあったのか?」
 衛兵「ああ、最近戦場でオベリスクの乱立や、敵の前線にゲートを立てる者がおってな
    とある情報では、この町に他国の工作員が住み着いているとの噂がある。」
 店主「そうか、では気が済むまでこの店を調べていってくれ」
 衛兵「迷惑を掛けるが、少し我慢していてくれ」
 スカ「ん?それは、その工作員の似顔絵か?ちょっと見せてくれ」
 衛兵「こら!勝手にもっていくでない!
    あ、あなた様は・・・失礼致しました!(敬礼)」
 店主「お知り会いかね?」
 スカ「ああ、つい先日から国王直々に工作員を探し出す様頼まれてね
    この町の警備兵である彼らに調査を任せていた」
 店主「ほお。国王直々とは・・・君もずいぶんと出世したものだ」
 スカ「ああ。でも、まだ兄貴には適わないさ・・・」
 店主「そうでもないぜ(笑)」
 
 スカ「しかし・・・上手い似顔絵だ。これなら工作員を見かけたら一目瞭然だな」
 
 (スカ、表情が固まる)
 
 衛兵A「どう致しました? この似顔絵に見覚えでも?」
 スカ 「いや・・・気のせいだった」
 衛兵A「そうですか。
     この店の者で、この似顔絵に似ている娘を見かけたら
     我々に至急連絡してくれ!頼んだぞ!」
 
 (店の客・・・全員固まる・・・そして視線は皿子へ・・・)
 
 客A 「こ・・・この女だ!!!!」
 客全員「何!なんだって!!!」
 衛兵A「おい、そこの女を捕まえろ!」
 皿子 「なっ!何よ!あんたたち!
     ちょっと!貴方見てないで助けてよーーーーー!」
 スカ 「な・・・なんてことだ・・・お前が・・・まさか・・・嘘だと言ってくれ・・・」
 皿子 「違うわ!私は工作員なんかじゃない!お願い!信じてーーー!(涙)」
 スカ 「だが・・・俺は・・・俺は王国に身を捧げた一兵士・・・許せ・・・」
 皿子 「お願い!私を信じて!」
 スカ 「・・・だが何故だ・・・何故なんだ・・・?
     お前は俺と友にネツで生きてゆくことを誓ってくれたはず・・・」
 皿子 「それは・・・
     それは・・・
     それは・・・」
 スカ 「それは?」
 皿子 「それは・・・
     それは・・・
     それは・・・
 
     おめぇが ぜーーーーーーーーーんぶ わるいんじゃーーーーぃ!」
 
 スカ 「ええっ!」
 皿子 「少し出世したからって、のぼせちゃって・・・
     いつも仕事仕事で、私はいつもひとりぼっち・・・」
 スカ 「・・・」
 皿子 「最後のデートはいつだったか覚えてる?」
 スカ 「それは、確か・・・」
 皿子 「3ヶ月も前よ!」
 スカ 「そうか・・・」
 皿子 「だから、私はストレスがたまって・・・どうしようもなくて・・・」
 スカ 「すまない・・・」
 皿子 「だから・・・・だから・・・
 
     戦場にオベリスクを乱立して、鬱憤をはらしていたのよーーーーーーー!
     おほほほほほほほーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
 
 (客全員席から立ち上がる)
 
 客全員「なんだと、この野郎!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 皿子 「なんですって!こんなにか弱いレディーに向かって"野郎"って何なのよ!」
 客全員「うるせぇ!さっきのゴブリンフォークでゲートが最前線にいきなりおったったのは全部てめーのせいか!?」
 皿子 「当たり前じゃないの!あれくらいしないと 鬱 憤 は、 は ら せ な い の よ っ!」
 客全員「なんだと、この野郎!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 皿子 「なんですって!こんなにか弱いレディーに向かって二度も"野郎"って何なのよ!!」
 
 スカ 「落ち着くんだ!皿子!」
 皿子 「いやーーーぁ!」
 スカ 「落ち着いて聞いてくれ、皿子・・・法を守らねば秩序は保てぬ・・・」
 皿子 「私・・・つかまっちゃうの? つかまって牢獄で鞭打ちの刑を受けるの?」
 スカ 「・・・ああ・・・そうだ」
 皿子 「私・・・私・・・貴方の事をこんなにも愛しているのに??」
 スカ 「こ・・・国王には陳情を・・・」
 皿子 「こんなにも愛しているのに・・・」
 (皿子、スカに抱きつく。そしてディープキス)
 
 客A 「おい!若いの!色仕掛けにだまされるんじゃねえぞ!」
 客B 「そうだ!その女は他国の工作員だ!だまされるんじゃねえ!」
 客C 「お前!まさかネツを、この国を裏切るつもりじゃないだろうな!」
 衛兵A「お辛いでしょうが・・・さあ参りましょう」
 
 スカ 「皆、許せ・・・俺は・・・俺は・・・国と皿子を天秤にかけるというなら・・
     俺は皿子を選ぶ!」
 皿子 「・・・えっ・・・えっ・・・・(嗚咽)」
 客A 「おい!お前・・・何を言っているのか分かっているのか?」
 衛兵A「正気ですか!?・・・その娘を庇うのであれば、貴方様も国王のお怒りにも触れることに・・・」
 スカ 「ああ、わかってるぜ・・・百も承知だ!」
 衛兵A「おい!全員取り囲め!」
 衛兵B,C、D「はっ!」
 全員 「俺たちも手伝うぜ!」
 スカ 「くそっ!」
 皿子 「何で・・・なんで・・・私の為に・・・私なんかの為に・・・」
 
 店主 「少し待ってくれないかね」
 衛兵A「邪魔をするでない!」
 店主 「私は、ある男にその若者二人の後見人になるように頼まれてね
     勝手な事をされると、その男に顔向けができなくて困るのだよ」
 衛兵A「ふん!って、誰だよ!その男ってのは!」
 店主 「さあな・・・その男は空の上だ。会いたくても会えないさ」
 衛兵A「はっ!ふざけるな!おい!この二人をしょっぴけ!」
 
 店主 「ほお、お前たちはこのお嬢さんのオベリスク乱立に怒り心頭のようだが・・・」
 客C 「だからなんだんだよ!!いくらマスターの頼みだってこれだけは譲れねえ!」
 
 
 店主 「そうか・・・ならば・・・全員自分たちの足元に視線を落としてみるんだ。
     ゆっくりとな・・・」
 
 
 
 男全員「          は  っ  !
 
               オ ベ リ ス ク が 乱 立 !!」
 
 
 老人 「(わ・・・わしも・・・わしだって若かりし頃は!)」
 
 ----- 店長の日記「女工作員」より -----

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