*癒され処別館 [#ic11c3cd]
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**ネツァワル式バーボンハウス 外伝 [#mae36810]
***プロローグ [#hef9f349]
 友よ、私は君に問いかけた。
  「この長く深いトンネルの先に、君は一体何が見えるのか」と。
 友よ、君は少し考え、静かに口を開いた。
  「闇が見える」と。

***第1章 [#za9b3232]
 オリ「糞っ!今のネツは本当にgdgdだ!」
 スカ「全くだ。この店の客を見てみろよ!ホントネツの雰囲気は最悪だぜ!」
 店主「・・・
    ご注文は何かな?」
 オリ「こんな安月給じゃいい酒は飲めねーからな・・・とりあえず牛乳をくれ」
 スカ「俺はアルコールがダメでな。俺は豆乳を頼む」
 
 店主「ところで・・・
    ここは戦いに疲れた者達が集う酒場だから別に色々愚痴るのは構わない。 
    ここで吐き出してまたがおーできるようになるなら安いもんだ。 」
 オリ「・・・」
 スカ「ふん!気休めありがとうよ! さあ兄貴一杯やろうぜ!」
 オリ「ああ・・・」
 スカ「ところで兄貴。昔のネツが強かったってのは本当かい?」
 オリ「ああ、そりゃもう強かったさ!防衛戦に出れば連戦連勝!
    皆命知らずのどーしよーもねえ馬鹿ばっかりでさ、
    オリのみならず仲間の皿やスカまで敵めがけて突撃したものさ!
    お前信じられるか!?」
 スカ「いやあ、俺には信じられないねえ。本当にそうだったのかい?」
 オリ「オイ!お前俺の言う事を信じられねえって言うのか!?」
 スカ「ま、まてよ・・・兄貴!落ち着けって!」
 オリ「まあいいさ・・・今となっては遠い昔の物語だ。
    誰も信じなくていいさ・・・」
 スカ「兄貴・・・」
 
 店主「ふむ。つまり君は昔の黄昏に浸りながらこの先の人生を歩む訳だ。
    今を生きずして過去に生きる・・・なんとも切ない人生だねえ」
 オリ「・・・」
 スカ「おい!お前!兄貴に向かって何て口の聞き方だ!」
 オリ「オイ・・・よせ・・・」
 スカ「兄貴!何で一言言ってやらないんだよ!・・・見損なったぜ・・・」
 オリ「・・・」
 
 店主「君はネツ人ではないな?どこから来たのだね?」
 スカ「俺か?・・・俺はお前さんの言うとおり他国から移住してきたのさ!
    まあ、そりゃ・・・それなりの夢と希望ってものを抱いてネツに来たけどさ・・・
    今のこの国のあり様じゃそんなもの直ぐにどこかに消えちまったさ!」
 店主「なるほど。君は夢と希望を持たずして、これからの人生を歩む訳か。
    夢と希望のない人生に幸せなんてあるのかね?」
 スカ「なんだと!?この野郎!!!」
   (スカ、店主に殴りかかる)
 オリ「やめろ!!!」
   (ぼこっ! オリ、スカをぶん殴る)
 スカ「痛てぇ!!!何でだよ!!!兄貴!!!」
 オリ「うるせぇ!とにかくヤメロ!この人はな・・・この人は・・・」
 スカ「何でだよ・・・兄貴・・・」
 
 店主「私は昔の君を知っている。君がどんな人間であるのかも。
    昔の君なら今君が置かれた状況に絶対満足しないはずだ。
    君は今何をすべきか分かっているはずだ。何故行動に移さない?
    昔の君なら・・・」
 オリ「うるさい!・・・それ以上言うな!・・・分かってる・・・
    そんな事言われなくても分かってるんだよ!」
 スカ「兄貴・・・一体どうなっちまったんだ!?」
 
 オリ「マスター・・・済まねぇ・・・今日は持ちあわせが少なくてな・・・
    牛乳代すら払えねぇ・・・ツケで頼む・・・」
 店主「ああ。分かったよ」
 オリ「オイ、兄弟!いくぜ!」
 スカ「ま、まってくれよ!まだ俺は豆乳を全部飲んでないんだぜ!?」
 オリ「黙って付いて来い!!」
 スカ「ひぃ!」
 オリ「マスター・・・おかげで目が覚めたぜ。
    俺・・・頭が悪いから何をやればいいかさっぱりわからねぇけどさ・・・
    とりあえず戦場で声を出してくるわ」
 店主「そうか」
 オリ「さあ、行くぜ!兄弟!」
 スカ「まってくれよー! 兄貴ー!」
 
 店主「ああ、一つ言い忘れた。今日の酒(牛乳)はおごりだ。
    また来る時は、もっとまともな注文をしてくれよ」
 オリ「ああ・・・恩に着るぜ」
 
 オリ「オイ!そこの軟弱野郎!お前のひん曲がった根性を戦場で叩き直してやる!」
 スカ「そ・・・そんな・・・兄貴ーーーー!(涙)」
 
 ----- 店主の日記「旧友来る」より -----
***第2章 [#p8960380]
 店主「お、懐かしい顔だな。今日は素敵な彼女も一緒のようだが?」
 皿子「えーっ やっぱりわかります??彼女に見えます??(はあと)」
 スカ「お、オイ!やめろって。そんなにくっ付くな」
 皿子「もぅなんで恥ずかしがるのよ!」
 スカ「いや・・・別に」
 
 店主「ところで彼はどうした?今日は流石に一緒じゃないのかな」
 スカ「ああ、今日はちょっとね・・・」
 皿子「あーっ!彼ってあの口うるさいおっさんの事!?」
 スカ「口うるさいは余計だ」
 店主「ははは。まあ、確かに彼は堅物だからな」
 皿子「あのおっさん、いなくなって本当に清々したわ!
    だって、やれ僻地に来いだの、やれクリばかり掘ってないで召喚になれだの、
    とにかく戦場で五月蝿くってかなわなかったわ。
    おかげで彼とのクリをほりほりデートを何度も邪魔されたし!」
 スカ「・・・」
 皿子「あのおっさんが目の前から消えてくれたおかげで毎日がとても し あ わ せ ! 」
 スカ「おい・・・」
 店主「消えたって?それは一体・・・」
 皿子「ええ、ドランゴラ防衛戦のとき仲間のオリと崖下に突撃してヘルに焼かれて死んじゃったのよ。
    あんなところに突撃したら皆ヘルで焼かれて死んじゃうのに。ばっかみたい!」
 スカ「・・・」
 皿子「あーぁ 思い切り喋ったらすっきりした!
    貴方、少し席をはずすわね。」
 スカ「ああ」
   (皿子、厠へ)
 
 店主「そうか・・・彼は死んだのか・・・彼の人生は破天荒そのものだった。
    遅かれ早かれこうなる運命だったかもしれぬ・・・」
 スカ「ああ、そうだな・・・」
 店主「しかし君は生き残ったというのか。中々大したものだな」
 スカ「腕には多少なりとも自信があるからな・・・」
 
 店主「そういえば、最近彼から預かった物がある。
    ドランゴラの戦が終わった後、私から君に渡してくれと頼まれてね。
    受け取ってくれるかい?」
 スカ「あ・・・兄貴が俺に?」
 店主「これだ」
 
 
    ○○○   
   ○ ・ω・ ∩ ガォー!
    ○○○彡    ガォー!! 
   .c(,_u⊂彡 
 
 スカ「こ・・・これは! その昔、ネツァワル精鋭騎士団の部隊長にのみ着衣が許されていたマントじゃないか!
    お、俺はこれに憧れてネツに移住してきたんだ!
    俺も何時の日か、このマントを身にまといし戦場での活躍を夢見て・・・
    まてよ・・・このマントは確か今ネツに二つしかないと聞く。
    なんで兄貴がこんなものを持っていたんだ? ま・・・まさか・・・」
 店主「受け取ってくれるかな?」
 スカ「い・・・いや・・・今の俺にはこれを受け取る資格はねぇ・・・」
 店主「何故だ?故人の意志を受け継ぐ事が故人への最大の礼儀ってものじゃないかな?」
 スカ「お、俺は・・・俺は・・・」
 店主「どうした?」
 スカ「お、俺は・・・
    兄貴を・・・
    見殺しにしたんだ・・・」
 店主「ドランゴラで何があったのだ・・・良ければ話してもらえないかな?」
 スカ「それは・・・」
 
 スカ「俺は・・・
    戦争が始まると共に、兄貴と一緒に東の崖めがけて一目散に走った。
    兄貴は崖下を抑えれば必ず戦争に勝てるって・・・そう仲間に言い聞かせて・・・
    仲間のオリと共に「がおー」の雄叫びの元、崖下に飛び込んだ。」
 店主「君も一緒に飛び込んだのかな?」
 スカ「いや・・・俺は・・・飛び込まなかった・・・
    違う・・・飛び込めなかったんだ!
    飛び込みたくても・・・崖下を覗いたら・・・足が・・・足がすくんで・・・
    弓スカの俺が一緒に飛び込まなきゃ、オリの兄貴は敵の火皿に焼かれてしまうのは
    百も承知だったのに・・・
    俺は・・・俺は・・・恐怖に怯えて飛び込めなかったんだ!!」
 店主「・・・」
 スカ「崖下からは、仲間のオリ達の悲痛な叫び声が聞こえてきた・・・
    今でも、あのときの仲間の叫び声が脳裏に残ってはなれねぇ・・・
    兄貴の叫び声も・・・」
    (スカ、泣き崩れる)
 店主「そうか・・・よくぞ話してくれた。
    彼は幼き頃より身寄りがなく。私の家族の元で共に過ごした。
    彼とはその時からの親友だった。そして今でも、そうさ・・・今でも・・・。
    君が勇気をもって真実を語ってくれたおかげで友人である彼の最後を知ることがきた。
    彼の友人として礼を言おう。ありがとう。」
 スカ「俺は・・・」
 
 皿子「おまたせー! またせてごめんね。さあ乾杯しましょう!
    あれ?どうしたの?泣いてるの??」
 店主「今は、彼を一人にしておあげなさい。」
 皿子「えっ?」
 
 
 男A「大変だ!エルソードがドランゴラに攻めてきた!」
 客B「なんだって? 今どんな状況なんだ!」
 客C「何!?ネツが5人、エルソードが15人だって!?」
 客D「こりゃ駄目だ・・・諦めよう。援軍に駆けつけたところで無駄死にするだけだ」
 客E「ああ、そうだな。悔しいが仕方がない・・・」
 
 
 皿子「はぁあ。いやな話を聞いたわ。せっかくのデートが台無しじゃないの」
 スカ「おい、出かけるぞ」
 皿子「え?出かけるってどこに? 今お店に入ったばかりじゃないの!」
 スカ「うるせぇ!黙ってついてこい!」
 皿子「ま、まってよ!どこに行こうっていうのよ!?」
 スカ「ドランゴラに決まってるだろ!」
 皿子「馬鹿言わないでよ!なんで負け戦なんかにいかないといけないのよ!」
 客D「弓スカさん、そのお嬢さんの言うとおりだ。無駄だ。やめておけ」
 客E「だよな。無駄に命を削るだけだというのに」
 皿子「ほーらね。まったくなんで負けが見えてるドランゴラなんかにいかないといけないのよ」
 スカ「俺は・・・俺は・・・ネツ人なんだよ!
    生まれも育ちもネツじゃねーけど・・・もう俺の魂はネツ色に染まっているんだよ!
    俺はもう二度と・・もう二度と仲間を見捨てたりはしねぇ!!!!」
 客D「お、おい・・・お前・・・」
 
 スカ「もういいい、ついてこないなら俺一人で行く!」
 
 皿子「ま、まってよーーーー!」
 スカ「おい、お前、俺についてくるって言うのかい? 散々いやがっていた癖に・・・」
 皿子「もう!ほっとける訳ないでしょ!まったく子供みたいに世話が焼けるんだからっ!
    さあドランゴラで堀り堀りデートを楽しみましょっ!(はあと)」
 スカ「オイ!この軟弱野郎!お前のひん曲がった根性を戦場で叩き直してやる!」
 皿子「な!なんですって!か弱いレディーに向かって”野郎”って何なのよ!」
 スカ「うるせぇ!今日からお前は俺の子分だ!黙ってついてこい!」
   (スカ、皿子を片に抱きかかえて店を出る)
 皿子「そ・・・そんな・・・いやーーーん(涙)」
 
 客D「いまどき珍しい若者だな。命知らずもいいところだ」
 客E「まあな。でもよ。俺たちだって若い頃はそりゃ・・・」
 客B「はっ!お前さん達の腕と斧は錆付いて、もう使い物にならんじゃろ!
    わしはまだまだ現役じゃ!」
 客D「・・・」
 客E「・・・」
 客D「昔は良かったよな・・・」
 客C「ははは。何黄昏に浸っているんだい?俺様の腕と斧はまだ錆付いちゃいないぜ!」
 客D「ふん!ふざけるな!俺だってまだまだ現役だ!」
 客E「なあ・・・あの頃に戻ってひと暴れしてみないか?
    俺たちゃ老け込むにはまだ早すぎるよな?」
 客B「ああ・・・いっちょひと暴れしてくるか?(にやり)」
 客C,D,E「ドランゴラでな!」
 
 客B「マスター、今日は全員ツケで頼むぜ。金を払う時間すらもったいないからなっ
    野郎共!いざ出陣だぜ!!!!!!!!!!!!!」
 客全員「おおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 
 店主「やれやれ」
 老人「なんとも頼もしい青年じゃのう。将来が楽しみじゃ」
 店主「おや、いつのまに・・・しかしあの青年は・・・
    そう・・・なんというか若かりし日の亡き友に似ている。そんな気がしませんか?」
 老人「そうかのう。わしにはお前さんの若かりし姿と被って見えるのじゃがのう」
 店主「えっ」
 老人「はっはっはっ(水戸黄門調)」
 
 ----- 店主の日記「英雄死すとも魂は死せず」より -----
***第3章 [#u5d7a3a2]
 皿子「はあぁ・・・」
 店主「何かあったのかな?」
 皿子「最近、彼と全然会えないのよね・・・私嫌われてるのかな・・・」
 店主「ははは。それは考えすぎじゃないかな?
    彼は出世して何かと忙しいのだろう。
    つい先日も、国王へ謁見するために上京すると話していたしね」
 皿子「なっ!なんですって!
    私そんなの一言も聞いてないわっ!
    何でマスターにだけこっそりと・・・」
 店主「何でも今回の仕事は隠密行動が必要との事だが。
    上官から周囲には目的を漏らさないようにと言われているそうだ」
 皿子「そんなぁ・・・でも私には話してくれたっていいと思わない?
    ねぇ そうでしょ?マスター!」
 店主「落ち着きなさい。今日は私が一杯おごるから」
 皿子「一人でお酒を飲んだって・・・楽しくないよ・・・」
 店主「ははは。私では彼の役は務まらないか
    まあ、ゆっくりして行きなさい」
 皿子「はーぃ。ふぅ」
 
 (スカ、店に現れる)
 
 店主「お!彼が戻ってきたぞ!」
 (皿子、そっぽを向く)
 スカ「おいおい、機嫌が悪そうだな。久しぶりに会えたっていうのに。
    やぁ。マスター。久しぶりだな」
 店主「ああ、お帰り」
 スカ「何かあったのか?」
 皿子「何でもありませんよーっだ!ね?マスター」
 店主「あ、ああ、そうだな(苦笑)」
 スカ「ちぇっ!俺だけ仲間はずれかよ! まあいいや。とりあえず牛乳をくれないか
    いつもの銘柄のやつをな」
 店主「ははは。牛乳ならちゃんと仕入れてあるさ。しかし、この注文を聞く度に昔を思い出す・・・」
 スカ「ああ、いい思い出ばかりだ・・・」
 皿子「ちょっと!どんな思い出なのよ!? まさか昔の女の思い出じゃないでしょうねっ!?(怒)」
 スカ「さぁ。どうだったかなあ・・・なっ? マスター?(笑)」
 店主「私に振られても困るが(苦笑)」
 皿子「もぅ!二人とも大嫌い!」
 
 店主「ところで、お二人のなり染めをまだ聞いてなかったのだが。
    どこでこんな素敵なお嬢様を見つけてきたんだ?
    ネツ広しといえど、そう簡単には見つかるまい(笑)」
 皿子「えーーーーーっ! やっぱりそう思いますぅ????」
 スカ「(オイオイ)」
 皿子「今何か言った!?(殺)」
 スカ「さあな。そういえば、お前と出会ったのは・・・確かデスパイアだったかな」
 皿子「初めて出会った場所を忘れたって言うの?もう最低!
    デスパイアじゃないわ! ゴブリンフォークよ!(怒)」
 スカ「似たようなものじゃないか」
 皿子「全然違うわよ!」
 スカ「マスターも一言いってやってくれよ」
 店主「ああ、君が全て悪いな(笑)」
 スカ「・・・」
 皿子「ほーらみなさい!」
 
 皿子「私たちはゴブリンフォークの戦争中に出会ったの」
 スカ「まあ、そういう事だ」
 皿子「もう!話はまだまだ続くのよ!」
 店主「是非続きを聞いてみたいね(笑)」
 スカ「勝手にしてくれ!」
 
 皿子「そう・・・あれは、稲妻に打たれたような衝撃的な出会いだったわ!」
 スカ「(んー、確か仲間のジャッジが皿子に命中していたような・・・)」
 皿子「私は感じたの・・・感じたのよ! 彼の熱い視線を!」
 スカ「(んー、あの時はハイドだったしなあ・・・)」
 皿子「そして・・・そして、彼の愛の矢が私のハートを射抜いたのよっ!」
 スカ「(んー、確かイーグルストライクが命中していたような・・・)」
 皿子「私は、あまりの衝撃に足元がふらついて・・・」
 スカ「(んー、スパイダーも命中したしな・・・)」
 皿子「そして・・・そして、私のハートは激しく燃え上がったのよっ!」
 スカ「(んー、ブレイズも命中したしな・・・)」
 皿子「私だけじゃないわっ!彼も!彼も!激しく燃え上がったの!」
 スカ「(俺めがけてヘルをぶっ放してきたしな・・・)」
 皿子「えーーーぃ!横でごちゃごちゃとうるさーーーーい!!!!」
 スカ「お、俺は事実をいったま、ん、が、ごご・・・」
     (スカ、皿子にあいた口をふさがれる)
 店主「ははは。なかなか素敵な出会いじゃないか(笑)」
 
 店主「だが・・・その話は少し矛盾しているじゃないか
    つまり、彼女は敵国の人間だったということかね?」
 皿子「そうよ。私がネツの怖い人たちに捕まったとき、彼が捕虜の私を助けてくれたの
    ねっ。あ な た(はあと)」
 スカ「ああ、そんな事もあったなあ」
 皿子「もぅっ! ちゃんと覚えてなきゃだめじゃないの!
    運命の出会いの瞬間は、レディーにとって一生の・・・」
 
 (男が息を切らせて店に入ってくる)
 
 店主「騒々しいな。何かあったのか?」
 伝令「隊長殿!隊長殿はおらぬか!?」
 スカ「どうした!?何かあったのか!?」
 伝令「ご・・・ゴブリンフォークに進行した部隊が消息を絶ちました!」
 スカ「いったい何故!、ゴブリンフォークに隣接していた国は確か・・・はっ!
    彼らの出身地はまさか!」
 伝令「そのまさかのようで・・・」
 皿子「ねぇねぇ どうしたの??」
 スカ「いや、何でもない・・・」
 伝令「今すぐにでも追撃部隊の出陣を許可してください!
    ネツァワルを裏切りし者を見逃すわけにはいきませぬ!
    このままでは敵国に逃げ延びてしまいます!」
 スカ「ならぬ・・・追撃部隊の出陣は許可せぬ」
 伝令「何故に・・・(拳をカウンターに叩き付ける)・・・貴方様は悔しくないのですか!?」
 スカ「・・・これは命令だ。彼らを追うな」
 伝令「分かりました・・・貴方様がそのように申すのであれば、我々は従いましょう・・・」
 
 (伝令、店を出る)
 
 皿子「ねぇ、いったいどうしたって言うの?」
 スカ「何でもない。ちょっとしたトラブルだ」
 客A「なあ、そこの兵隊さん。今の話は本当か?
    またネツから他国に逃げ込んだ奴がいるってのかい!?」
 スカ「・・・」
 客B「おいおい、たのむぜ・・・ここ数ヶ月でいったい何人ネツから人が消えているってんだい」
 客C「この町も人が減ったよな。俺の店も客足がさっぱりでさ。売り上げもからっきしだ」
 客D「お前もか?俺の店もさっぱりだ」
 客E「そういえば、戦争も負け続けって噂が流れてるけど、そこんとこどうなんだい?兵隊さん?」
 スカ「ああ・・・事実だ」
 客C「やっぱりそうかよ!はっ!なのにお前さんは、こんな寂れたバーで昼間っから酒びたりってか!?(怒)」
 客D「ネツも落ちぶれたもんだ。こんな奴が栄光のネツァワルの兵士なんだぜ!?しかも隊長ときたものだ!(笑)」
 皿子「何よ!彼が飲んでるのは酒じゃないわ、牛乳よ!
    勤務中の昼休みにちょっとお店に寄っただけじゃない!
    それなのに何よ皆して・・・」
 スカ「やめろ・・・」
 客B「ははは!牛乳だって!?はっ笑わせるなよ!お子様じゃねーんだからよ
    おうちに帰ってままのおっぱいでもしゃぶってた方がいいんじゃねーか?(大笑)」
 客C「まったくだ!上手いこというねえ、お前さん!(爆笑)」
 皿子「みんな、ひどい・・・」
 スカ「いいんだ、好きなだけ言わせておけ」
 店主「少し席を外してもらってもいいかな?ほんの数分でいい」
 皿子「え?私?・・・うん・・・いいいけど・・・」
 
 (皿子、席をはずす)
 
 店主「もう一杯飲むかね?」
 スカ「ああ、頼む・・・」
 スカ「なあ、マスター・・・俺は軍人に向いていないのかな?」
 店主「なんだ、いきなりどうした?」
 スカ「俺は、俺なりに頑張って、隊長まで上り詰めた。
    上り詰めたといっても、部下は8人しかいないけどな・・・」
 店主「それで?」
 スカ「先月、部下の一人がシュアの戦いの最中に敵国に亡命した・・・」
 店主「そうか・・・」
 スカ「半月前は、さらに部下の一人がホークウィンドの戦いの最中に逃亡した」
 店主「・・・」
 スカ「そして、今度はゴブリンフォークだ。
    ゴブリンフォークには俺の部下が一人いた。その一人が・・・」
 店主「敵国に逃亡したって訳か」
 スカ「ああ・・・。なあ、マスター。俺が兄貴だったらみんな俺に付いて来てくれたよな?
    俺が兄貴だったら、みんなネツから逃げ出したりしなかったよな!?」
 店主「ははは・・・彼か? 彼は鬼隊長として敵国ならずともネツの兵士たちにも恐れられていたさ。
    だが、その一方でネツの皆に愛されていたのも事実だ。ネツの兵士たちは皆彼に従ったものだ」
 スカ「そうか・・・」
 店主「ああ」
 スカ「俺は、兄貴が俺にしてくれたように、俺は部下に接してきた
    だが、結果はこのありさまだ・・・俺には人を束ねる器はねぇ」
 店主「・・・今のネツァワルは長く深いトンネルの底をさ迷っているようなものだ。
    国を愛するものはもがき苦しみ、この状況を打破しようと懸命に生きている。
    だが国は徐々にやせ細り、国王の求心力の低下さえ噂されるありさま。
    ネツを離れるものがいても不思議ではあるまい。あまり自分を責めるな」
 スカ「・・・なあ、マスター、俺はどうすればいいのかな?
    軍に志願する者が今では昔の半分もいないと聞く。入隊したところですぐに去ってしまう」
 店主「君はどこ出身だったかな?」
 スカ「俺は・・・ホルだ」
 店主「彼女は?」
 スカ「彼女は・・・カセドリアだ」
 店主「人にはそれぞれ異なる人生がある。国の行き来も昔と比べて自由だ。
    君はホルを去るとき、後ろめたさを感じたのかね?」
 スカ「いや・・・それはなかった。俺の夢と希望はネツにあったから・・・」
 店主「ならいいじゃないか。
    ネツは昔から来る者は拒まず。去るものは引き止めず。昔からそうだ」
 
 店主「ところで、さっき君に暴言を吐いた客の半分は他国出身者だ」
 スカ「えっ?」
 店主「国が落ちぶれれば愚痴のひとつも溢したくなるものさ。その矛先が今はたまたま君だった訳だ。
    だがネツが落ちぶれても、他国に移らずにずっとこの国に留まってくれている。
    私はそんな彼らを誇りに思う。そしてそんな彼らを引き留めるさせるこの国を誇りに思う」
 スカ「・・・」
 店主「今の君は、まるで亡き友人の亡霊に取り付かれているようだ」
 スカ「そんな事は・・・」
 店主「彼には彼の人生があった。君には君の人生がある。
    彼は彼のやり方でこの国に尽くした。君は君のやり方でこの国に尽くせばよいではないか」
 スカ「・・・」
 
 (皿子、席に戻る)
 
 皿子「もういい?」
 店主「ああ、いいとも(笑)」
 スカ「そういえば、お前、いつもこの店に一人出来て愚痴を吐きまくってるそうじゃないか
    マスターから聞いたぜ?」
 皿子「えーそうよ。だって愚痴でも吐かなきゃこんな国やってられないわよ!
    皆国王のまねをして”がおー”だなんて、子供じゃないんだから。ばっかみたい」
 スカ「おい!国王の悪口をいうんじゃねぇ!」
 皿子「いいじゃない・・・少しぐらい愚痴ったって。
    ほんとこの国は最悪よ。みんな戦争のことばかりしか喋らないし。
    戦争に負けるとみんな飲み屋で愚痴大会。戦争以外のことを話してくれるのはマスターだけよ。
 
    でもねみんな愚痴を吐き出したあとは、全員で「がおー」って叫んでお店を出ていくの・・・
    そしてまた戦場に向かうのよね・・・
 
    なんかいいよね。そういうのって。私は女だからそういうのよくわからないけど。
    なんかいいのよね・・・貴方も戦場で”がおー”って叫んでるのかなって思うと・・・」
 スカ「俺はがおーなんて叫んだりはしねぇよ」
 皿子「今がおーって言ったじゃない(笑)」
 スカ「戦場での話しだ!」
 皿子「もう・・・結構好きなんだけどな・・・貴方のがおーって・・・」
 スカ「ふんっ」
 皿子「拗ねちゃって・・・子供なんだから!」
 
 伝令「大変だー! ゴブリンフォークにカセドリアが攻めてきた!」
 
 客A「なんてこった。今どこの戦場も人がたりないんだ」
 客B「どうする?」
 客C「どうするって、おめーよ・・・」
 
 店主「君は行くのかね?」
 スカ「俺か?・・・俺は一人でも行ってくるぜ、仲間は見捨てないからな」
 皿子「私も行く!」
 スカ「お前はついてくるな!相手はカセドリア・・・お前の生まれ故郷だ」
 皿子「そうね・・・でももう関係ないわ。私は貴方と、そうネツと共に生きてゆくことに決めたの」
 スカ「お前・・・本当にいいのか?」
 皿子「ええ!もちろん!」
 スカ「ありがとう・・・」
 皿子「何目に涙を浮かべてるのよ!しっかりしなさい!これから戦争なのよ!」
 
 (ゴブリンフォーク着)
 
 スカ「敵が多そうだな・・・」
 皿子「うん・・・ちょっと偵察にいってくるね」
 スカ「ああ、気をつけろよ」
 
 (皿子去り、男近づく)
 
 男A「よお!お前さん、さっき飲み屋にいた若もんだな?」
 スカ「ああ、そうだが?」
 男A「やっと見つけたぜ。マスターからこれを預かってな。
    まさか、お前さんがあのマスターが見込んだ男とは思わなかったぜ。
    さっきは暴言を吐いてわるかったな(苦笑)」
 スカ「これは・・・兄貴のマント・・・」
 男A「兄貴?何いってるんだい?これはその昔、マスターが軍人の時に身にまとっていたマントだぜ?
    ほら、ここにマスターの名前が刻んであるだろ?ほら身にまとってみろよ!」
 スカ「え・・・」
 男A「おっ!似合うじゃねぇか!
    懐かしいねえ・・・マスターはネツ全国民にとって英雄そのものだったんだぜ。
    俺もあこがれていたんだよな・・・まあ、俺にとっては今でも英雄だけどな」
 スカ「このマント、もう一着あると聞くが・・・」
 男A「・・・ああ・・確かに他国から移住してきた若者が一時身に着けていたが・・・
    マスター同様かつて存在したネツァワル精鋭騎士団の部隊長まで上り詰めた男だ。
    確かホル出身だったかな。この男には国王も絶対の信頼を置いていたさ。
 
    だが・・・当時のネツには他国出身者という事だけでこの男を毛嫌うやからも多くてな。
    彼がネツァワル精鋭騎士団の部隊長に就任した時から、ありえもしない噂が色々とたったものよ・・・
    結局・・・その若者はネツァワル精鋭騎士団の名を汚さぬ為に自らマントを国王に返納し、その座を退いた。
    いや、それどころか・・・一階の兵士にまで戻ったそうだ
    国王も引きとめはしたが彼の意思は固かった・・・惜しいことをしたものだ・・・
 
    今となってはこの事実を知るものは殆どおらぬ
    栄光あるネツァワル精鋭騎士団の名を汚してはならぬという大儀名文の元に、
    その若者の名前はネツァワル王国の歴史から永遠に消え去ったからな」
 スカ「・・・そうだったのか・・・
    だが・・あんたは何故そんな事を知っているんだ?」
 男A「まぁ、いいじゃねーか、お前さんより長生きしている分物知りなんだよ!」
 
 (遠くから酔っ払いのおやじ連中が近づいてくる))
 
 男B「ふう、まだ酒が残ってやがる。最悪だぜ・・・うげぇぇ」
 男C「おい!!お前!!俺に向かってゲロを吐くんじゃねぇ!」
 男D「へへへ、俺なんざ家から家宝のランスをもってきたぜ。俺が馬にまたがりランスを振りまわしゃ百人力よ!」
 男E「家宝のランスだって!?おめぇ!そのランス、嫁さんが物干し竿代わりに使っていたやつじゃねぇか!」
 男D「うるせぇ!お前だって、この前落馬して腰を痛めてるんだろ!?まったく足腰が弱っちまいやがって!」
 男E「なんだと!俺は落馬したところで俺に適う奴は誰もいないぜ!」
 
 男A「おお、やっときたか。
    さあ、今日はネツァワル騎士団復活の記念すべき日だ! 盛大に暴れてやろうぜ!」
 スカ「騎士団って・・・いったいどこに?・・・」
 男A「お前さんは盲目か? お前さんの目の前にちゃんと整列してるだろ!!」
 スカ「え・・・」
 
 (男全員、にやり)
 
 スカ「お前達・・・」
 男A「おい、勘違いするなよ。俺達はまだ誰一人としてお前をみとめちゃいないぜ」
 スカ「わかってるさ。だが、今日から俺がお前達の隊長だ
    俺は、俺はマスターとは違う・・・俺は俺のやり方で戦うぜ」
 男全員「ああ、かまわんさ! 地獄の底までついていってやるぜ!」
 スカ「あと・・・ひとつ言わせてくれ・・・」
 男A「ん?何だ?」
 スカ「俺達はネツァワル騎士団じゃねぇ・・・ネツァワル"精鋭"騎士団だ!」
 男全員「ははははは!あたぼうよ!!!」
 
 
 (皿子、偵察から戻る)
 
 
 皿子「ただいまー。霧が濃くて敵の姿が殆ど見えなかったわ」
 男A「お嬢さん、偵察ご苦労さん。さあ、出陣するぜ」
 皿子「何?この酒臭いおっさんたち??」
 スカ・男全員「ははは!」
 
 (そして前線へ向かう途中・・・)
 
 皿子「あー、いつのまに王国マントなんてもらったの?」
 スカ「ついさっきな」
 皿子「へー、あ、このマント可愛い〜〜〜。私もそのマントほしい〜〜〜貸してよ〜〜〜」
 スカ「これだけは駄目だ」
 皿子「なんでよー、ちょっとくらいいいじゃないの」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 全チャ:皿子「熊さんマークが可愛いね!」
 
 
 
 
 
 
 
 全チャ:スカ「 ラ イ オ ン だ ! 」
 全チャ:男A「 ラ イ オ ン だ ! 」
 全チャ:男B「 ラ イ オ ン だ ! 」
 全チャ:男C「 ラ イ オ ン だ ! 」
 全チャ:男D「 ラ イ オ ン だ ! 」
 全チャ:男E「 ラ イ オ ン だ ! 」
 
 ----- 店主の日記「光」より -----

***エピローグ [#t2707033]
 友よ、私は君の亡き友に、かつて問いかけた。
  「この長く深いトンネルの先に、君は一体何が見えるのか」と。
 友よ、君の亡き友は少し考え、静かに口を開いた。
  「闇が見える」と。
 
 友よ、私は君の亡き友の魂を引継ぎし若者に、かつて問いかけた。
  「この長く深いトンネルの先に、君は一体何が見えるのか」と。
 友よ、君の亡き友の魂を引継ぎし若者は少し考え、静かに口を開いた。
  「何かが見える・・・」と。
 
 友よ、私は君の亡き友の魂を引継ぎし若者に、もう一度問いかけた。
  「この長く深いトンネルの先に、君は一体何が見えるのか」と。
 友よ、君の亡き友の魂を引継ぎし若者は迷うことなく答えた。
  「光が見える」と。
  ・・・自信に満ち溢れた声で。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  
 老人「眉間にシワなど寄せられて・・・如何なさいましたかな?」
 大男「うむ。たった今、親しき友より書簡が届いてな」
 老人「ほお、良い知らせですかな?」
 大男「いや・・・悪い知らせだ・・・かつての英雄が・・・
    いや・・・親友が一人この世を去った」
 老人「なんとも寂しい限りですな・・・」
 大男「だが・・・良い知らせも書いてある。そうだ・・・良い知らせだ・・・」
  :
 娘 「おとーさーん!まだ食べちゃだめなの??おなかすいたーーー!」
 父親「すまぬ。もう少し待ってておくれ」
 老人「はっはっはっ。落ち着きなされ。
    テーブルからご馳走は逃げたりしませんぞ(笑)」
 娘 「うーっ。がまんできないよぉ・・・
    10数えるうちにいただきまーすしないと、
    おとーさんのしっぽをかぷっしちゃうからっ!」
 娘 「いーち、にーぃ、さーん、・・・」
 父親「大臣よ!これは一大事だ!急いで食事の席に戻らねば!(笑)」
 老人「さすがの国王も姫君には御手上げですな。はっはっはっ(水戸黄門調)」

**ネツァワル式バーボンハウス 外伝 (皿子のお受験) [#xc3ee723]
 皿子「うーん、この問題難しいわね・・・」
 スカ「何だお前、まだ一問も解けてないじゃないか。
    ほら、ちょっと貸してみろよ・・・これは、こうすれば・・・」
 皿子「うーっ、横から口出しすると頭がこんがらがるから黙ってて!」
 スカ「はいはい」
 皿子「返事は”はい”一回でしょっ!」
 スカ「はいはい」
 皿子「もうっ!」
 
 店主「おや、何の勉強かな?」
 スカ「聞いてくれよマスター
    皿子がベインワット王立魔法大学に通いたいって言うことを聞かなくてさ」
 店主「ほお。あの名門大学か。それは勉強をしないとね」
 スカ「てか、なんでいまさら大学なんかに?」
 皿子「貴方が戦争で活躍する姿を見ていてね・・・わたしもって・・・」
 スカ「まあ、確かにお前の魔法はスカの俺から見てもなってないが・・・」
 皿子「でしょっ!? 私の魔法は殆ど独学なのよね。
    だからなんかいまいちっていうか」
 スカ「ああ、たまにお前の前を歩いていると、俺のお尻に火が付いてることがあるしな(笑)」
 店主「ははは・・・そりゃ大変だ(笑)」
 皿子「うるさい!」
 店主「ははは(苦笑)」
 
 スカ「にしても、お前、まだ、全然問題を解けてないな。大丈夫か?」
 皿子「うるさい!貴方はベインワット王立魔法大学の入試問題の難しさを知らないから
    そんな事がいえるのよ。もうっ!」
 スカ「・・・ちょっと問題を見せてみろよ」
 (スカ表情が固まる)
 皿子「ほーら見て御覧なさい。貴方だって解けないでしょ?(自信たっぷり)」
 スカ「おい・・・これは・・・」
 皿子「何よ?(満面の笑み)」
 
 
 
 
 
 スカ「ベインワット王立魔法小学校の入学試験問題じゃねぇか!」
 皿子「なっ!なんですって!???・・・えぇぇぇぇ・・・・」
 スカ「お前、これどこで入手したんだ?」
 皿子「そっ・・・それは・・・さっきこのお店の前で去年の入試問題を
    配っていた人がいたから、それを・・・(声が徐々に小さく・・・)」
 スカ「ああ、確か昨日も配っていた奴がいたな。」
 店主「今は受験シーズンだからね。町の至るところで配っているさ」
 スカ「なるほどね、それで間違えてもらってきた訳か」
 皿子「そっ・・・そうみたいね・・・あはははは・・・」
 
 スカ「ちょっと待て。お前・・・小学校の入試問題がわからないって・・・」
 皿子「・・・(涙目)」
 店主「もしかしたら、学校に通ったことがないのかな?」
 皿子「・・・(目から涙が)」
 スカ「おい、泣くなって・・・学校に通ったことがないからって気にするなよ。なっ?」
 皿子「どうせ、私は馬鹿よ・・・
    家が貧しかったから、小さい頃から家の手伝いばかり・・・
    学校にいかせてもらうことなんか出来なかったわ・・・」
 スカ「そうか・・・それは知らなかった。
    なら、大学は辞めてもう少し下のレベルの学校を受験してみたらどうだ?
    いきなり大学は無理だぞ?」
 皿子「いやよ!私は魔法大学に通って貴方みたいに活躍するんだからっ!」
 スカ「まあ、まてよ。何も大学に通わなくたって、お前のジャイアントの砲撃は天下一品だぞ!?
    我が騎士団の連中もいつも関心しているんだぜ?」
 皿子「もうっ!レディーに向かってジャイの姿を褒めてどうするのよっ!(怒)
    あーもう!頭にきた!絶対に合格してやるぅ!」
 スカ「はあ・・・」
 店主「いいじゃないか。何事にも挑戦してみるものだ」
 皿子「でしょ?店長もそう思うでしょ?」
 店主「もちろん(笑)」
 
 部下「隊長殿!今の話しかと聞きましたぜ!」
 スカ「おお、なんだお前さんもいたのか」
 部下「ついさっきからでさぁ。ところでお嬢さん。大学受験ならこの私に任せてくださいませ!」
 皿子「え?まかせるって?」
 部下「へっへっへっ、こう見えてもわしもベインワット大学出身者でね」
 スカ「なんと、そうだったのか。人は見かけによらないものだな」
 皿子「すごい!でも、大丈夫かな?飲んだ暮れなおっちゃんだけど・・・」
 部下「任せてくだせぇお嬢様!隊長の大切なお方の為なら、この身を惜しんでまでもお伝いしまっせ!」
 店主「よかったじゃないか」
 皿子「やった!これで合格間違いなしよっ!」
 
 (ある日の昼下がりの酒場)
 
 皿子「えーっと、これはこうなって・・・」
 部下「んー、これは一番が正解じゃの」
 皿子「なるほどー、おじさん頭いいねー!」
 部下「はっはっはっ
    おしっ、次は体力をつけにマラソンじゃ!シュア島に行くぞ!」
 皿子「えぇ!頑張るわっ!」
 店主「ん?マラソン?」
 部下「そりゃ大切じゃよ。何事も体が資本じゃ」
 店主「なるほどね」
 
 (スカ店にくる)
 
 スカ「よお!お、勉強ははかどっているか?ってか、何で酒場で勉強を?」
 皿子「大丈夫、おじさんがお酒を飲んでいても、私は飲んでないから」
 スカ「ふむ。まあいいか、とにかく頑張れよ」
 皿子「まかせて!」
 
 (スカ、カウンターへ)
 
 スカ「なあ、マスター。皿子はいつもこの店で勉強を?」
 店主「ああ、まあ、もっとも勉強をするにはふさわしくない場所だが真剣に打ち込んでいるさ」
 スカ「そうか。なら安心だな。まあ・・・もっともここだけの話だけど大学は無理だなろうけどね」
 店主「受けることに意義があるのさ。そうだろ?」
 スカ「まあ、そうだな」
 
 (そして試験当日)
 
 スカ「おーい、受験票はちゃんと持ったのか?」
 皿子「ええ、ばっちりよ!先週おじさんに大学の場所を教えてもらって取りに行ってきたから大丈夫!」
 スカ「俺は仕事があるから一緒にいってやれないが、とにかく応援してるからよ 頑張ってこい」
 皿子「ふふふ・・・私が合格して貴方が驚く姿が目に浮かぶわっ!」
 スカ「期待してるぜ!」
 
  (皿子、大学に到着)
 
 皿子「(ここが、憧れのベインワット王立魔法大学・・・絶対に合格してみせるわ!)」
 教師「ああ、そこの君。受験希望者かね?」
 皿子「はい、そうです!」
 教師「では、受験票の提出を。えっと、氏名と年齢は・・・
    いやあ、感心、感心。
    最近は君のように一度学業を諦めた人が再び学問の道を目指す人が多くてね。良い事だ」
 皿子「やっぱり?そう思いますぅ??」
 教師「ええ、もちろん(笑顔)。 さあ、教室へお入りください。
    受験会場は教室ですから。ああ、もうこんな時間だ。まもなく試験が始まりますよ」
 皿子「はいっ!」
 
 (皿子、教室へ)
 
 皿子「(あ・・・緊張するわ・・・)」
    (あらっ 小さい子も沢山いるんだ・・・そういえばおじさんが大学入試に年齢は関係ないって言ってたわね)」
 教官「はい、みさなん今日は」
 全員「こんにちはー!」
 皿子「こんにちはー!」
 教官「元気がいいですねー。では今から問題用紙と回答用紙を配ります
    解答用紙には忘れずに氏名を記入するように」
 皿子「(ああ〜〜〜緊張するぅーーーー)」
 教官「では、試験を開始します。はじめっ!」
 
 
 皿子「(えーっと、まずは名前を書いてと・・・)」
 皿子「(問題は・・・全部で3問・・・あら?ずいぶんと少ないわね。それだけに一問の重みが・・・(冷や汗))」
 
  << 第一問 >>
  目の前に羊が100匹います。そこに羊が1匹歩いてきました。
  羊は全部で何匹になったでしょう?
 
 皿子「(何・・・この ふ ざ け た 問 題 はっ!)」
 皿子「(簡単じゃないの、答えは「101匹」!)」
 皿子「(ま・・・まって・・・大学の入試問題がこんなに簡単なはずは・・・)」
 部下「(そうだわ・・・おじさんが言ってた・・・引っ掛け問題に注意しろって!)」
 皿子「(そっ・・・そうよ・・・羊の数え方は・・・羊が一匹・・・羊が二匹・・・)」
 
 
 
 
 
 
 
 
  << 皿子の答え >>
  皿子は、羊を20匹まで数えたら眠たくなっておねんねしちゃいました。てへっ
 
 
 
 
 皿子「(さあ、次々・・・)」
 
 
 
 
  << 第二問 >>
  太郎君がお母さんから500ゴールをもらってケーキ屋にケーキを買いに出かけました。
  太郎君は300ゴールドのケーキを一つ買いました。さておつりは幾らだったでしょう。
 
 皿子「(何・・・この ふ ざ け た 問 題 はっ!)」
 皿子「(簡単じゃないの、答えは「200ゴールド」!)」
 皿子「(ま・・・まって・・・大学の入試問題がこんなに簡単なはずは・・・)」
 皿子「(まさか、これも引っ掛け問題・・・)」
 皿子「(・・・確か大学に来る途中にケーキ屋があったわね・・・なるほど!)」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  << 皿子の答え >>
  今日はケーキの特売日だから、ケーキは一個250ゴールド。
  だからお釣りは250ゴールドですぅ。
 
 
 
 皿子「(いよいよ最後の問題ね・・・)」
 
 
 
 
  << 第三問 >>
  太郎君は、1000グラムの砂が入った袋を持っています。
  太郎君は、一度に200グラムつかむことができます。
  太郎君が袋の中から全ての砂を取り出すには、何回袋の中に手を入れないといけないでしょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  << 皿子の答え >>
  皿子のおてては小さいから20つかみ。
 
 
 
 
 皿子「(これで・・・かんぺきよっ!!)」
 
 
 
 
 
 
 
 (再びバー)
 
 皿子「ただいまー!」
 スカ「おお、早かったな 試験はどうだった?」
 皿子「完璧よっ!もう合格間違いなしっ!」
 スカ「で、手に持っている封筒はなんだ?」
 皿子「ああ、これね。この中に合格した人の受験番号が入っているの!」
 スカ「なら、あけてみなよ」
 皿子「えっ・・・緊張するなあ・・・貴方が代わりにあけてよっ」
 スカ「しかたねぇな。貸してみな」
 
 スカ「えーっと、番号が1から200まで全部書いてあるな」
 皿子「えっ。受験したのは全員で200人って聞いたけど・・・」
 スカ「なら全員受かったって事か。よかったなあ」
 皿子「おかしいわ・・・あの大学は合格率10%にも満たないって聞いたことが・・・」
 
 スカ「ああっ!!!番号が一つ抜けてるぞ!」
 皿子「可愛そう。何番の人なんだろう?」
 スカ「んー、44番だな
    44番とは、運が悪い番号だな。可愛そうに
    しかし・・・一人だけ落ちるなんて・・・ショックが大きいだろうな・・・
    まあ、とりあえず皿子はめでたく合格した訳だし
    まずは乾杯しようぜ!! おい、客のみんな、今日は俺のおごりだ、多いに飲んでくれ!」
 客全員「ありがとよ! お嬢さん! 合格おめでとうっ!!」
 
 (大いに盛り上がる店内)
 
 
 
 スカ「ん? 皿子、どうした? 暗い顔をして」
 皿子「いいの・・・」
 スカ「おい、待てって。お前は今日の主役なんだぜ?」
 皿子「いいの・・・」
 スカ「どうかしたのか? ああ、これから大学通いでしばらく俺にあう機会がへるから
    悲しんでるんだろ?(笑) 可愛いところもあるじゃねぇか」
 皿子「そうね・・・」
 
 (店主と部下が店に来る)
 
 店主「お、盛り上がってるね」
 部下「何っ! お嬢さんが合格したって!?」
 店主「これは驚いた! 正直合格は無理だと思っていたのだが・・・たいしたものだ」
 部下「ふふふ、まあ優秀な生徒だったからな。先生役の俺も教えがいがあったってやつよ!」
 スカ「マスター、この用紙が合格者一覧さ」
 店主「ああ、合格者の番号が並んでいるね」
 部下「しかし大学か・・・懐かしいねえ」
 店主「ところでベインワット王立魔法大学ともなると試験内容もかなり難しかったのだろうね」
 部下「ん?魔法大学?なんだそりゃ?
    俺が通っていたベインワット王立脳筋体育大学の入試試験は
    昔も今もシュア島100周完走することだぜっ?」
 店主「え・・・」
 スカ「おい・・・」
 部下「しかし驚いたねぇ。俺達の時代は筆記試験なんてなかったのにな。時代もかわったもんだ!」
 部下「まあ、でもよっ! 安心しなっ! あの大学に親しい講師がいてな、
    筆記試験のことを聞いたら、”んなもん適当でいい”って言いやがってさ
    形式上書かせてるだけで意味なんてねーんだとさっ
    だもんで、俺はお嬢様に採点官に少しでも目に留まってもらえるようにと
    ちょっとひねった回答を書くように日々指導してやったのさっ!」
 部下「わしは、何よりもお嬢様がシュア島を100周完走したことに感心じゃ。
    か弱い体でよくぞ頑張った!
    隊長殿!これでお嬢さんも今以上に立派なジャイアントとして活躍できますぞ!
    頼もしい限りじゃねーかっ! はっはっはっ!」
 店主「・・・」
 スカ「・・・」
 
 (部下以外の全員、顔が引きつる・・・)
 
 
 スカ「まあ、でもあれだ・・・ほらっ 皿子よかったな!
    何はともあれ実力で魔法・・・いや・・・脳筋大学に合格したんだからさ!!
    そ、そのなんだ、これでお前のジャイアントは百人力っつーか、なんていうかさ。
    と、とにかくこれからも期待してるぜっ!・・・」
 皿子「そ・・・そうね・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 (マスター、改めて合格通知書を見て青ざめて固まる・・・)
 
 
 
 
 
 部下「ん?マスターどうした?」
 
 (部下、マスターが見ていた合格通知書を覗き込む)
 
 部下「えーっと
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
    ベインワット王立魔法小学校合格通知書 ?
 
 
 
    小 学 校 ? ? 」
 
 
 
 
 部下「そういえばベインワット王立脳筋体育大学のそばにベインワット王立魔法小学校もあったのう」
 店主「ところで・・・彼女の受験番号は何番だったのかな・・・?」
 部下「ああ、44番でっせ。まあなんつーか運が悪そうな番号だったけどよぉ
    んなもん気にするなっていってやったさ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 スカ・店主・客全員「 ・・・・・・・・・・・・・・・ 」(顔面蒼白)
 
 
 
 
 
 皿子「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ほっほっほっ!!」
 皿子「どーーーーーーーせ、わたしなんか!わたしなんか!! がおおおおおおおーーーーーー!!」
 
 (皿子、顔を引きつらせながら店を出る)
 
 部下「そんなに感動してもらえるなんて、おっちゃんはうれしいぞ!」
 部下「隊長殿! わしもお嬢さんの頑張りに感動しちまったよ!(男泣き)」
 
 ----- 店主の日記「皿子のお受験」より -----

**ネツァワル式バーボンハウス 外伝 (戦場へ向かいし者達) [#f2f11e03]
 店主 「おや、今日はご機嫌だね。お、衣装も綺麗だね。まるで別人のようだ(笑)」
 ちぃ姉「おほほ。最近チーズが沢山入荷する事ができてね。おかげで売り上げもウナギ上りよ♪
     だから大金を叩いてドレスを購入してみたの。生まれてはじめてのドレスよ(大喜び)」
 ちぃ姉「でも、”別人みたい”だけは余計よ(笑) 私だっておめかしくらいするわよ(笑)」
 店主 「ははは。チーズといえば、オーク狩りでも流行っているのかな?」
 ちぃ姉「なんでかな?良くわからないのよね」
 店主 「そういえば、この前、騎士団のお嬢さんがドラゴンの卵がどうこうって言ってたな
     何でもモンスター狩りが流行っているらしいが」
 ちぃ姉「そうだったの。
     そういえば、隣の店のゴブ親父も最近ゴブ本が沢山あつまってホクホク顔だったわ」
 ちぃ姉「ところで、騎士団のジャイアンって凄いらしいわね
     なんでもこの前のデスパイア戦で、敵のゲートを一撃で破壊してしまったとか・・・
     巷じゃその話で持ちきりだわ」
 店主 「ああ凄いらしいね(苦笑い)」
 店主 「君はそろそろ身を固めたりはしないのかな?
     いつも一人で私の店にきているのだが・・・何なら誰か紹介しようかね?(笑)」
 ちぃ姉「もうっ、マスターの意地悪!・・・そりゃ素敵な人がいればだけど・・
     私って高望みしちゃうのよね。どこかに素敵な王子様でもいないのかしら。はぁ」
 店主 「王子様か。それは無理な注文だね(笑)」
 
 (青年が店に訪れる)
 
 青年 「久しぶりだな。マスター」
 店主 「やあ、最近顔を見せないから心配していたよ。元気そうだな」
 青年 「まあ、色々あってね」
 ちぃ姉「(あら、いい男。私好み! でも・・・身だしなみはいまいちね)」
 青年 「こちらの素敵なお嬢様はどちら様で?」
 ちぃ姉「あら、素敵だなんて・・・」
 青年 「宜しければご一緒に如何です?」
 ちぃ姉「いえ、結構よ」
 青年 「失礼ですが、上流階級のお嬢様とお見受け致しましたが」
 ちぃ姉「えっ・・・ええ、そうよ。今日はこっそりお屋敷を抜け出して下町に遊びにきたの
     店の外に馬車が止めてあったでしょ? その馬車できたのよ」
 店主 「え?」
 
 (ちぃ姉、マスターの足を思いっきり踏んづける)
 
 青年 「あの馬車の持ち主ということは・・・
     では、私のような身分の低い男では相手にして頂けませんか・・・」
 ちぃ姉「うーん、でもいいわ。少しだけなら付き合ってあげる(微笑)」
 青年 「ありがとう(微笑)。ところで下町は如何ですか?退屈しませんか?」
 ちぃ姉「そうでもないわ。お屋敷では毎晩パーティーばかり
     話す内容はいつも同じで退屈極まりないわ
     といっても、味気もなんにもないこんな下町よりはずっと楽しいけどね(笑)」
 青年 「そうでしたか(笑)」
 
 (二人の会話は盛り上がり・・・)
 
 ちぃ姉「(あ・・・そろそろお店の支度をしないと・・・)」
 ちぃ姉「ごめんあそばせ。わたくしそろそろお屋敷にもどらないと・・・」
 青年 「そうですか。短い時間でしたがとても楽しめました。
     ところで、またお会いして頂けますかな? 機会があるなら是非・・・」
 ちぃ姉「わたくしめの屋敷を警備するものの目がとても厳しくて・・・ああ、もう時間が・・・」
 
 (ちぃ姉、あわてて店を出る)
 
 青年 「素敵な女性だった・・・」
 客A 「おいおい、兄ちゃん。気に入った女ならなんで引き止めないんだ?
     身分の違いなんぞ関係ねーだろ? 相手も乗り気だったじゃねぇか」
 青年 「そうだな。だがいいんだ」
 店主 「追わなくても良いのかね? 今ならまだ間に合うが・・・
     彼女は素敵な女性だ。私が保証するよ」
 青年 「マスター、私にはもう時間がない・・・時間がないのだよ・・・」
 客A 「ん?」
 店主 「そうか・・・あの噂は本当だったのか」
 青年 「ああ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 (青年、店を出て馬車の傍の男に近づく)
 
 青年 「この店に来ることも、もう二度と無いだろう・・・」
 騎手 「さあ、そろそろお屋敷に戻りますぞ。
     服装もきちんとしたものに着替え直して頂かないと」
 青年 「わかっているさ
     ああ、一つお願いがある。すこし遠回りして屋敷に戻ってくれないか
     町の中を見て回りたい・・・」
 騎手 「わかりましたさ」
 
 
 
 (馬車に青年が乗り込み、馬車が走り出す)
 
 青年 「(ん?・・・あの女性はさっきの・・・)」
 ちぃ姉「ねぇ!そこの人、チーズもってない?高く買い取るからさっ!」
 通行人「けっ!どうせぼったくりだろ?ふざけるな!」
 ちぃ姉「ふんっ!何よ!いちゃもん付けるなら、とっととどこかにお行き!」
 
 
 
 青年 「もういい・・・屋敷に戻ってくれ」
 騎手 「へぃ
     それにしてもお坊ちゃまがデスパイア城の城主に選ばれるとは
     幼き頃よりお使え申した身と致しましては感無量でございますぞ・・・」
 青年 「爺や、色々と世話になったな・・・」
 騎手 「必ずや生きて・・・生き延びて、再び屋敷に戻ってきて下され・・・」
 青年 「泣くな・・・私は必ず・・・そう、必ず生き延びてみせる・・・
     そして、この町の地を再び踏む・・・そうさ、きっと・・・」
 騎手 「しかし・・・何故、何故お坊ちゃまがデスパイア城に・・・納得がいきませぬ」
 青年 「誰かが・・・誰かが、やり遂げねばならぬのだ。そう・・・この国の為に・・・」
 
 ----- 店主の日記「戦場へ向かいし者達」より -----

**ネツァワル式バーボンハウス 外伝 (時には息抜きも) [#l0a0113b]
 [[[ 戦場:ゴブリンフォーク ]]]
 
 オリA「頭がくらくらするぜ」
 オリB「俺もだぜ。まったく辛い世の中になっちまったよな」
 オリA「早めに前線に戻らないとな。お前POTにまだ余裕はあるか?」
 オリB「いや、ベーコンが残り3個だけだ」
 
 オリA「前線に行けば片手オリばかり。頭を殴られてばかりでやってらんねーぜ」
 オリB「お互い昔からの純両手オリだからな。いまさら戦闘スタイルは変えれなえしな」
 
 (少女が一人寄ってくる)
 
 オリ子「あ、そこのおっちゃん。クリちょーだい」
 オリA「おっちゃんは余計だ」
 オリ子「ねぇねぇ、何でこんなところでずるしてるの?
     皆前線で戦ってるよ?」
 オリB「おいおい、さぼっている訳じゃねーさ。ちとPOTが足りなくてな。
     体力を回復しているんだよ」
 オリ子「ふーん」
 オリA「おめーさんこそ、こんな所で何やってるんだ?
     まだ子供だろ?戦場は危険だぞ?お家に帰りな」
 オリ子「クリを集めてるの。クリを沢山集めるとリングが沢山もらえるって聞いたから」
 オリB「ああ、そうだな。クリ集めなら子供でもできるか」
 オリ子「んじゃ、クリを銀行さんに預けにいってくるねー」
 オリA「ああ、頼んだぜ。気をつけろよ」
 オリ子「あ、おっちゃんたちにいいものあげる」
 
 (肉片を受け取るオリA、オリB、そして立ち去る少女)
 
 オリA「まいったな。こんなもんをもらった所で役にたたねぇな」
 オリB「なあ、もう少し休んでいかないか?」
 オリA「そうするか・・・」
 オリB「ああ・・・」
 
 
 [[[ 戦場:デスパイア ]]]
 
 オリA「くそっ! また殴られ損だぜ」
 オリB「俺のドラゴンテイルも錆付いちまったかな」
 オリA「・・・ああ、そうかもな・・・」
 
 (少女が一人近づいてくる)
 
 オリ子「あ〜また昨日のおっちゃんたちだ!」
 オリA「おっちゃんは余計だ!」
 オリ子「くり頂戴!」
 オリB「ほらよ」
 オリ子「ありがとー。んじゃ、これお礼にあげるね」
 
 (肉片を受け取るオリA、オリB、そして立ち去る少女)
 
 オリA「またか・・・こんなもんをもらった所で役にたたねぇな」
 オリB「なあ、もう少し休んでいかないか?」
 オリA「そうするか・・・」
 オリB「ああ・・・」
 
 
 [[[ 戦場:シュア島 ]]]
 
 オリA「はあ・・・ここのクリは遠いな」
 オリB「休憩に戻るにも一苦労だ」
 オリA「なあ、俺、今まで黙っていたんだけど、SPが少しあまっていてな・・・」
 オリB「ほお」
 オリA「ドラゴンテイルを覚えようと考えていたのだが・・・
     バッシュでも覚えようかと・・・」
 オリB「・・・」
 オリA「ご、誤解しないでくれよ!?
     そりゃお前と一緒にドラゴンテイルをぶっ放すのがお互いの夢だったからな
     でもよ、このご時勢だ・・・」
 オリB「・・・そうだな。ああ、好きにすればいいさ・・・」
 オリA「すまねぇ」
 
 (少女が一人近づいてくる)
 
 オリ子「あ〜まただああ。おっちゃんたちだ!」
 オリA「何度も言わせるな!おっちゃんは余計だ!」
 オリ子「クリ頂戴!」
 オリB「ほらよ」
 オリ子「ありがとー。んじゃ、これお礼にあげるね」
 
 (肉片を受け取るオリA、オリB)
 
 オリA「なあ、こんなもんもらった所で俺たちには役に立たないぜ?」
 オリ子「えーっ そんなぁ・・・」
 オリB「ところでお前さん。両手斧なんて装備してるけど、両手オリを目指すつもりか?」
 オリ子「もちろん!」
 オリA「なら、やめておきな」
 オリB「だな。今からでも遅くない」
 オリ子「いやよ!絶対に両手オリになるんだからっ!」
 オリA「なんで、そんなに両手オリに拘るんだい?」
 
 オリ子「それはね・・・昔小さいときエルギルで遊んでいたら戦争になったの
     そしたら怖い敵のオリさんが近づいてきて・・・
     きゃーって叫んだらネツの兵隊さんが駆けつけてドラゴンテイルで
     怖いオリさんを遠くまで吹き飛ばしてくれたの!だから私は・・・」
 オリB「そうか・・・」
 オリA「さあ・・・前線に戻るかね」
 オリB「ああ・・・戻ろう」
 オリ子「いてらー」
 
 
 オリA「ところで、お前、肉片いくつもらった?」
 オリB「俺か?2個だ」
 オリA「俺は3個だ」
 オリB「おめぇ女にもてるな(笑)」
 オリA「まあな(苦笑い)」
 
 (酒場)
 
 店主 「シュア島で救援が発せられたぞ」
 オリA「おい、相棒、出かけるぜ」
 オリB「ああ、もちろんさ」
 
 (戦場へ向かう途中)
 
 オリB「ところで、お前さん、バッシュは覚えたのか?」
 オリA「聞くだけヤボってもんだろ?」
 オリB「まあな(笑)」
 
 ----- 店主の日記「時には息抜きも」より -----

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